今日は暑い。大変に暑い。まだ五月だってのに暑い。
冷たいものが飲みたいね。今のんだね。
今日は本の感想を書くよ。
- 作者: ショウペンハウエル,Arthur Schopenhauer,斎藤忍随
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/07
- メディア: 文庫
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大学で借りた。
本のメッセージを簡単に言うと
「多読はやめろ、本を読むな。自分で思索しろ」
「今の文筆家の言葉遣い悪すぎ。馬鹿は本を書くな」
「古典の良書を読め。悪書は読むな」
みたいなことが懇々と語られていた。
この本の面白かったところは、現代にも多くが当てはまるところだと思う。
確かに、1800年代の作者には貴族特権的な意識があるし、天才だけが本を読んで文章を書けばいいのだ、エリートが学問をするから馬鹿はすっこんでろ、みたいな雰囲気は感じられるが、的を得ている。すごく鋭い箴言がいくつもならぶ。
一部引用しようと思ったが、どこを切り抜けばいいかわからない。だれか読んでみてほしい。
特にp40~50のあたりは痛烈だ。悪質で安い文章が巷にあふれている。愚鈍な読者はそれを非難できない。匿名は責任逃れになるから、匿名制度を禁止しろ、みたいなことが書いてある。
私は「え……? ショウペンハウエル、こいつもしかしてTwitterやってる?」という錯覚に陥った。
まさに今の私もそんな駄目駄目極まりないブログを書いているのである。
この本に収録されている「著作と文体」は、ドイツの文法の乱れを嘆いている文章だ。
これを読んでいると「知的おじさんが『なんだこれ、ゴミみたいな文章書いてるんじゃねぇ、まともな文章書けないのかこいつらは』などとぼやきながらキレッキレに正論をぶうたれる姿」が想像できて面白い。こういう知的おじさんにあこがれを持つ。
話がそれちゃうが……
と書いたが、ショウペンハウエルは回想や挿入文を嫌うらしい。人間は一つのことしか考えられないのに、この形式は余計な負担をかけるからだ。
分かりやすくかけ、とも書いてあったな。
……逸らした話について書こう。
この前、先生が冗談交じりに「そんな本(学生が持ってきた本)読むなら、俺の論文読めっていいたいですね」と笑いながら言ったのである。
私は思わず笑ったが、ショウペンハウエルが言いたいことにマッチするかもしれない。今、改めてそう思う。
個人的に刺さったのは、悪質な文筆家とそれを読む一般読者について書いているところだ。
このような一般読者の悲惨な運命には、目を覆いたくなるばかりである。凡庸低俗な頭にも気がねせず、金だけをめあてに書きなぐる作家、言い換えれば、いつでもそのへんに掃き捨てるほどいる作家の新刊物を、しょっちゅう読まなければならないと思っているのである。そのかわり、史上に残る稀有の天才の作品は、ただ名前だけを知っておけばよいとしている始末である。(p133,4行目より)
図書館や本屋の新刊コーナーをチェックしては何か本を探そうとし、先生がおすすめする古典的な名著をスルーしている私は、なんだか怒られた気分になった。すんません。
ちなみに、ショウペンハウエル自身はかなりの読書家である。
ここが肝と言っていいかもしれない。
本を読む人間が言う「本ばっかり読んでると馬鹿になる」は、文字通りの意味だけじゃないと思う。運動している人間がたまに言う「休むことも大事」とか、毎日小説を書いている作家が「書くことのコツは……書きすぎないことですね、無理に書かないこと」とか、女子が言う「かわいい~それ好きかも♡」みたいなもんで、要はパンピーであり童貞である俺があてにしちゃいけないタイプのアドバイスである。そのまま信じると何も努力しないことを選ぶのだ。
こいつらはたくさん読んでいるのだ。読んでいるからたくさんの本の良しあしが分かる、悪い本も読んでいるから「悪書シネ」みたいなことを丁寧に語るのである。
この言葉をそのまま受けてはいけない。でもいい言葉だし、俺も使っていきたいね。
「大学生は勉強するな」ってね。
というところがひとまずの感想である。思いついたのでこうして感想を書いた。
おそらく既に「ショウペンハウエル読みました~!! これは現代のメッセージです!! すごく刺さりました!! とかいってるこれもショウペンハウエルに言わせたら駄目な文章ですよね~~(笑)」みたいな感想を書いたアフィカスブログは転がっていると思う。
なんだその「俺だけがショウペンハウエルを一周して理解した」みたいな書きぶりは! この量産型イキりブログめ! 名の名乗れ! さもなくば沈黙せよ。愚者の飾りは沈黙のみである。